舟を編む フジ(12/22)#11終
最終回 第11話 灯
大渡海の印刷が始まる。
1枚に16ページが印刷されて両面で32ページ、それを折って
3辺を切断する。
刷出しを持参して松本先生を訪れる馬締と荒木。
辞書作りは永遠に終わらない仕事。
出版してからが本番です、翌日からは改訂作業が始まります。
それはまるで循環する生命の営みと同じです。
海外では時の権力者が辞書作りに携わります。
しかし日本では皆無です。
公金投与は内容に指図されことがあるかもしれない。
言葉は自由でないといけない。
食道にガンが見つかりました。
辛い現実だが、馬締は辞書作りを次の人に託す作業と考えている。
西岡は二人の子供を設けていた。
印刷所から終了の連絡があった後に松本先生の訃報が届く。
それを聞いて、感情を切り替えて会議に出席する副部長の西岡。
大渡海の宣伝を担当している。
こう見えて僕は大渡海に関わっていた時期がありました。
大渡海の宣伝を出来ることに、心から誇りに思います。
馬締は間に合わなかったと悔しくて泣いてしまう。
その後に完成した本が届く。
4人共に実感は無かった。
月の裏の座敷を予約しているのでお祝いしましょう。
馬締は気持ちを整理してから追いかけます。
松本先生の席を見て感慨に耽る。
西岡の名も大渡海に記載されていたが何もやってないぞ。
お互いに支え合い、補い合う良いコンビだと松本先生は
二人を称して述べたことを覚えていた。
今なら、その言葉の意味が良く分かる。
お疲れ様、完成おめでとう。
僕達の仕事に終わりは永遠にない。
俺の仕事はこれから始まる。
出版記念パーティーが催される。
辞書編集部の皆様へ、松本先生は生前に手紙を認めていた。
既にこの世には居ないことを想定していた。
荒木さんが馬締をリクルートしたことを感謝していた。
馬締が参加して大渡海作成の毎日は楽しかったと書かれていた。
僕らは旅人、辞書は照らす灯、旅人を照らすことを信じて。
僕らは繰り返し舟を編む。
---最終回---
松本先生に刷出しを見せることは出来たが、完成した大渡海を
見せることは出来なかった。
ほんの数日のことなので、残念でならない悔しさが込み上げてきます。
西岡は出世して自身で大渡海の宣伝を担当してます。
もう誰にも文句は言わせない立場なのでしょうね。
15年にも及ぶ壮大で壮絶な辞書づくりの物語でした。
将に儲からない仕事ですね。
ある意味では名誉を得るだけの仕事かもしれない。
アナログでの作業は本当に大変です。
今では電子辞書もあるので、PCで検索できますから
簡単に用語の欠落なども発見できます。
オックスフォード英語辞典は国が関与した辞書らしい。
確かに日本で国指導の辞書がないのは不思議ですね。